化学物質過敏症の方のお宅訪問
2001年夏 株式会社チャフ・スカラップの堀越さんと都内のKさん宅を訪問したときの様子です。
まず、状況説明をしましょう。
Kさんは病院で化学物質過敏症と診断され通院しています。
発症したのは何年か前に転勤で関西に引っ越し、リフォームしたてのマンションに入居した直後だそうです。
喘息のような症状で、ひどい時には救急車を呼んだほどだそうです。
その時は原因が分からず、症状は改善しないまま数年前に東京のご自宅へ戻ってきました。
ご自宅は一戸建の2階、1階にはご両親がおすまいです。築はかなり古いようです。
しかし、不幸なことにわざわざご両親が、同居のためにリフォームしてくれていたそうです。
私達が訪問したのは、リフォーム後2年程たっているわけです。これ覚えておいてください。2年たっても、だめなんです。
ご自宅に戻っても症状は良くならず、病院へ行き診断の結果、化学物質過敏症と診断されました。
Kさんは40代の奥様です。
ご主人はまったく悪い症状はないそうです。
Kさんの症状は、畳の部屋で寝ていると具合が悪くなる。
具合が悪いとは、頭痛、関節の痛み、気持ちが悪くなるといった、化学物質過敏症特有のものです。
これは昼間より寝ている時の方がひどく、押入に布団を入れておくと症状がひどくなるので、布団は袋に入れて外に置いてありました。
また、台所で食器を洗うとき、洗剤を使うとそのガスを吸って調子が悪くなるそうです。
美容院に行ってもシャンプーは薄めに、リンスはしないそうです。
ご主人が帰宅するとその服に付いた煙草の臭いなどにも反応してしまう位、臭覚が過敏になっているそうです。
更に窓を開けると外からの臭いが気になるということでした。外壁の塗装や手すりの塗装の影響のようです。
まず家の中に入る前に外気の測定。
この測定器は精密な測定はできない、相対的な簡略測定用ですので、外気の汚れをほぼゼロとして、測定を開始します。シックハウスに関連する揮発性有機溶剤の精密濃度測定にはお金と時間がかかるので、持ち歩くにはこれが便利で実用的なのです。
そして家の中へ
壁に張ってあるのはビニールクロスです。測定器の値を見てください。190以上です。通常の場合、130位以下であれば普通の人でも臭わないレベルですが、それよりかなり高いです。室内の臭いはそれほど気にならないですが、クロスの近くは濃度が高いのです。
壁に張ってあるのはビニールクロスです。測定器の値を見てください。190以上です。通常の場合、130位以下であれば普通の人でも臭わないレベルですが、それよりかなり高いです。室内の臭いはそれほど気にならないですが、クロスの近くは濃度が高いのです。クロス自体から発生するガスと接着剤から出るガスの影響でしょう。最近のクロスはシックハウス対策しているものも多いですが、完全にゼロレベルかどうか、よく確認する必要があります。190値でも過敏症でない我々にしてみると、それほど臭わないのです。
さて、問題の部屋へ。
ここが一番具合が悪くなる所です。
押入から調べました。
押入の中には袋に入った布団がありました。これは臭いが布団に付くのを防ぐ為だそうです。
値は199、高濃度です。押入の中はたいてベニアです。ベニアから発生する溶剤のガスの影響でしょう。
布団に寝ると具合が悪くなる原因の一つが分かりました。
■臭気測定器に関するお問い合わせはこちらからどうぞ。
臭気測定器のお問合せ先/新コスモス電機株式会社
http://www.new-cosmos.co.jp
TEL..(東京)03-5403-2704 (大阪)06-6308-2111
次は畳です。
起きている時より寝た時の方が具合が悪いそうですので、畳を剥がしてみると、、、、コレだ!防虫シート、ダニ防止用。
堀越さんも唖然。シートは数年前に引っ越してくる時にリフォームした時のものらしいです。
さっそくシートの下で測定。240、最悪です。数年前のシートがこの値です。新品だったら、、、?
もっと怖いのは畳の中に入っている場合もあるのです。
最近の住宅は保温性がいいのでダニが発生しやすい傾向ですので、防ダニや抗菌処理が流行しました。
こんなのは当り前だったのですが、それが発する化学物質が原因で人間がダメージを受けてしまうのです。
微量なガスでも長期間、慢性的に吸い続けると、突然拒絶反応が出るわけです。花粉症と同じ。これが化学物質過敏症の怖さです。一度かかると改善が難しいのです。
我慢できる位ならいいですが、起きていられない、部屋に入れないような重症になるから大変なのです。これが会社や学校だったらどうします。施設、病院、店だったら、、、怖いですね。
畳の中は調べられないので手付かずです。
畳の中に防虫剤などが入っている場合もあります。
化学物質過敏症は女性と子供に多い。もし生まれたばかりの赤ちゃんがこの畳の上に寝ていたら、と思うとゾッとしますね。
最近はしっかり環境や健康を考えた畳屋さんも多いです。
さっそく撤去作業です。
薬品メーカーがいろんな殺虫剤や防ダニ製品を出していますが、使用は必要最小限にしておかないといけませんよ。ダニと一緒に人間もダウンです。最近は化学物質が氾濫していて、殺虫剤だけでなくいろんなものが身の回りに存在しています。それらが複合汚染的に反応することも考えられるので、結局はできるだけ化学物質を遠ざけることが重要なのです。特に肌に触れるもの、口や鼻から入る物は注意した方がいいでしょう。私なんか、発癌性物質野放し、食品添加物野放しの時代に育っているので、私自身はもう手遅れですが、子供やこれから生まれてくる子達の為には、かなり神経質に考えても足りないくらい深刻だと思いますよ。実際、女性や子供を中心に、もちろん男性も、シックハウス症候群やそれが更に悪化した化学物質過敏症の方が増えています。アトピーの子も多いでしょう。原因は同じだという見方が一般的なのでが、要因が多いため、その究明はかなり困難です。問題なのは化学物質の氾濫でしょうね。
さて、次はタンス。
これが凄い。282、塗料、ベニア、防虫剤の影響でしょう。
タンスを開けると具合が悪くなるのも当然でしょうね。
家具業界も対応を初めていますが、大事なのはカタログの「シックハウス対策」の表示だけでなく、実際に臭いを嗅いでみることです。ちょっと気分が悪くなるような刺激臭がしたら要注意。
窓の外からの臭いに関しては、原因が分かりませんでした。
さて対策です。
まず畳の下の防虫シートは即撤去。
押入の中のベニアはその上にチャフウォールをご主人に塗ってもらいました。ご自身で塗れば安上がりでしょう。
Kさんと相談して肝心のチャフウォールによる室内塗装は止めてもらいました。なぜかと言うと、下記の状況から判断し、問題の室内だけ塗っても対策不十分で改善効果が出ないと考えたためです。
・窓の外からもガスが入り込んでいる可能性がある。
・1階からガスが上がってくるようなので、1階も塗らなくてはいけず、そうなると家中塗らないといけないので、費用面でたいへん。
ということで、あとは下記のアドバイスをして終わり。
タンスの中は、あまり防虫剤を入れないように
畳は防ダニ処置などしていないピュアなものがよい
外気がきれいな時は換気に心がける
台所の洗剤は界面活性剤など使わない、自分に合うものを探しましょう
お風呂のシャンプー、リンスも同じ
入浴時の洗剤はできるだけ使用量を減らしましょう
洗剤いらずの「雪肌づくり」のタオルをどうぞお試しください(使ってもらいました)
カーテンも洗濯すると調子が悪いとのことなので、これは洗剤の残留物の影響では?と思い、洗濯には界面活性剤を使わないもので試しましょう
以上です。
さて皆さん、どう思います?
化学物質過敏症になったら対策は大変なんです。
ライフスタイルを変え、田舎に引っ越すことが最後の手段。
大事なのはそうならないようにすること。
つまりシックハウス症候群(化学物質過敏症になる前の軽い症状の段階)にならないよう、建材、家具などを厳選することです。
大人のあなたはもう半分手遅れだからいいけど、子供さんのいるご家庭は真剣に考えてください。
あるアレルギーの会合で、某役所関係の方が言った発言ですが、「化学物質に負けない身体を作りましょう」これには情けなくてアクビが出ました。認識の甘さというか、前時代的な考えで、まいったね!
もう健康や体力勝負で解決できる問題じゃないのです。行政や企業、消費者がちゃんと考えないといけないね。
これも元はと言えば、安さ、経済効率、便利さ、奇麗さを追い求めた我々自身のライフスタイルが原因なんですよ。
まだ間に合うからみなさん少しづづ軌道修正しましょう。 |