岡野工業 話題のプレス工場 東向島 訪問記

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岡野工業 訪問記  不況知らずの町工場 in 東京 墨田区

独特の経営戦略

 

 

2004.10.17

雑学ノート

岡野さんをご存知ない方は、この本をご覧ください。

 俺が、つくる!

俺が、つくる

■岡野 雅行 (著) 岡野さんの本など

 

 

 

 

 2004年10月4日月曜日、午後4時 東京 墨田区 東向島

 

岡野さんの工場は東向島の駅から歩いて5、6分のところにありました。



仕事でお付き合いしている洗剤メーカーのご近所で、その社長のお知り合いと言うことです。

「岡野さん、おもしろいから今度一緒に行こうよ」という洗剤メーカー社長のお誘いで、何の用事もなく何気なく訪問した次第です。

岡野さんは多忙です。本業のプレスの他に、講演やテレビ取材など。

そんな時に世間話しに行っていいのかと、ちょっと心配しながらの訪問でした。

 

テレビに何度も出ていらっしゃるので分かると思います。

 


 私は岡野さんの講演を一度聴いたことがあるので顔は存じていました。

洗剤メーカー社長と東向島の駅からぶらぶら歩いて行くと、岡野さんが工場の隣に立っていました。

現在の工場の隣に工場を増設すると言うことで、その工事を見ていたとの事でした。

「まあ、上がんなよ」ということで事務所へ上がると、本にサインを頼まれてサイン中のようで、まだ何十冊だか残っているし、仕事やる暇がねえよ、とのこと。

昨日は寝たのが夜三時だよ、と言う顔はかなり眠そうでした。

 



 
テーブルの上には、あの有名な痛くない注射針のフープ材が置いてありました。

フープ材とは、プレスする工程の状態のものです。元エンジニアの私としては、かなり興味津々でした。

聞いてはいたが、確かに細い! 糸のようで、これが板金をプレスして作ったものだと言うことが驚きでした。

そのほかにもいろいろなプレス品がごちゃごちゃ並んでいて、これは面白い!

極秘の仕事もいろいろあるらしく、それはしっかり秘密でした。

 

なぜ岡野さんの岡野工業が有名になったのか? 気になりますよね。



日本全国にプレス工場は星の数ほどありますが、ここまで脚光を浴びたプレス屋さんはあまりないでしょう。

私もいろんなプレス工場へ行ったことがありますが、岡野工業は何か違うものを感じます。

いろんな工場を見ていると、そこに入った瞬間になぜか独特の気配を感じます。

なぜか?分かりませんが、その工場や経営者のポリシーのようなものが全体的な雰囲気として伝わってくるのです。

会社によっては、どうも活気、やる気がなかったりするような雰囲気を感じたりもします。

何年か前から、日本の工業分野では海外への生産移転やバブル崩壊後の不況により、廃業するプレス屋さんが多かったのですが、岡野さんは不況知らず。

その多くは企業の下請け的な仕事をしていたプレス屋さんで、コストダウン要求などの荒波を受けて沈んでいったわけです。

 

 岡野さんは、他社に出来ない仕事をやる。

大手企業が相談にくるが、他で出来ない物なので価格は岡野さんが決める。嫌なら他へどうぞ。

企業の下請けでなく、対等なパートナーとしての仕事しかしないわけです。

そうなるまでには地道な実績の積み重ねが必要でしょうが、それにチャレンジする努力と決断があったわけでしょうね。

自腹で長期間に渡る開発、覚悟を決めてそれに取り組むかどうかが難しいのですが、岡野さんはそれにチャレンジしてきたのでしょう。

 

 企業エンジニアの方なら分かると思いますが、決められた開発期間、コスト目標、開発予算の中でチャレンジしろと言われても、そりゃ無理な話しですよね。出来たとしてもせこいチャレンジしか出来ないわけですよ。

尚且つ失敗は許されないとなれば、じゃあ去年と同じものをょっと変えて無難に作りましょうって事になる。

その結果、たいした物はできない。

ちょっとデザインが変わっていたり、ボタンの数が増えていたりする程度。

そういう企業風土を作る経営者も雇われ社長だから、銀行が大半の株主総会を考えるとやっぱりチャレンジできない。

銀行はソロバン勘定しかしないから、新技術へのチャレンジなんて頭にない。

自分が任期の今期中になんとか実績を出すことしか考えない。

これが、今の日本の問題のひとつでしょう。

その中に飲み込まれたプレス屋さんは、沈む運命を背負わされるわけです。

岡野さんの場合、日々生活のための仕事をこなしながら、自腹で難題にチャレンジして実績を積んできたのでしょう。

失敗のリスク覚悟のチャレンジは、オーナー社長でしか決断できない。

あの注射針も、完成までに数年かかったそうです。使った金は○○円、桁外れなので書きませんが町工場としては驚きの数字です。

 

代表社員


 岡野さんの場合、岡野工業の社長ですが、名刺は代表社員

ビンの牛乳を飲みながら、うちの工場なんてチンケだから社長なんて偉そうに言えねえよってことで、代表社員だそうです。

一見して下町のガンコ職人だけど、プレス屋と言う仕事の利益を増やすために、どういう方向に行けばよいかを考えながらプロデュースして、地道に技術開発をつづけてきたのだろうと感じましたね。

ちょっと経営が軌道に乗ると、経営者になりきって口先だけとソロバンしか弾かない社長が多いのですが、この辺りがちょっと違う。

岡野さんの印象は、一言で言えば、大胆かつ繊細です。仕事が好きで、もっと進化したいようです。


 


 仕事は断りきれない程で、企業からの宿題山積みだそうです。


コーヒーやお茶菓子をご馳走になりながらそんな世間話しをして、帰りには手土産までもらってしまいました。

説得力のない、オーラを感じない人が多い昨今ですが、こんなに勢いがあって本物の人に会うのは久しぶりでした。

よい経験させていただき、ありがとうございました。

 


 東向島って都内だけどローカルだって言っていたけど、スゴイ

お土産にいただいた五家宝(ごかぼう)は美味しかった。
やっぱり五家宝は米と、きな粉が命ですね。いい味でした。
お茶にピッタリ   参考:岡野さんの著書など

 

 

 

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